【カンタン解説】健康経営とは?健康経営が推奨される3つの背景

【カンタン解説】健康経営とは?健康経営が推奨される3つの背景健康経営

「健康経営」ってなんだろう。

なるべくカンタンに把握したい。

こういった方向けに、健康経営とはどのようなものなのか、解説してきます。

健康経営(けんこうけいえい) とは

健康経営とは、従業員の健康の維持、増進をおこなうことで「会社の生産性の向上を目指す」経営手法です。

例えば、誰かが一人が体調を崩して休んでしまったり、職場の誰かが感染症に感染してしまうと、たちまち社内に感染症が広がってしまう、通常通りの業務を継続できないおそれがあるなど、企業活動に支障がある場合があります。

上記のような「身体的健康」もしくは、うつ病、メンタルヘルスなどの「精神的健康」をマネジメントしようと考えるのが「健康経営」です。

 

具体的に、以下のような施策を取り組みます。

その①・・・労務災害対策としての安全大会の実施
その②・・・感染症予防対策の実施
その③・・・定期健康診断の受診を推奨する
その④・・・有給休暇など休暇取得の推進
その⑤・・・心身の健康相談会の開催
その⑥・・・健康相談窓口の設置

「感染症の予防対策」や「有給消化の推進」をしてくれていると、この会社は、従業員のこと考えてくれているんだな、って感じるわ。

 

その他にも、取り組み事例集 – 経済産業省 にて多く事例が紹介されています。

健康経営が推奨される背景

この健康経営が推奨される裏側には、以下のような社会的背景があります。

その①・・・労働人口の減少
その②・・・働き方改革による残業上限の規制
その③・・・SDGsの重点的取り組みの一つとして「健康経営の推進」を設定

その①・・・労働人口の減少

労働人口の減少

今後50年で、日本の労働人口は約4割減ると言われています。
(出典: 平成29年版厚生労働白書 資料編 (2017年10月 厚生労働省))

人口が増え続けていた高度経済成長期の日本では、「従業員が一致団結し、難しい仕事をこなしていくこと」が美徳とされ、実際にその手法で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界に称されるまでの経済大国になりました。

ですが、労働人口が減りつつある現代の日本では、「より少ない人数で効率よく業務をこなしていくこと」が求められています。

このような背景もあり、効率良く業務をこなすためにも、「健康管理が重要」という考え方が普及してきています。

 

うちの会社だと社員は10人だから、6人で仕事を回せるように考えとかないと行けないのか。

 

その②・・・働き方改革による残業上限の規制

働き方改革による残業上限の規制

2019年4月より「働き方改革関連法(働き方改革一括法)」が施行され、残業時間の法的な規制が始まりました。(中小企業は2020年4月から施行)

「働き方改革関連法」とは・・・
以下の8本の労働法の改正を行うための法律の通称
 その①・・・労働基準法
 その②・・・労働安全衛生法
 その③・・・労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
 その④・・・じん肺法
 その⑤・・・雇用対策法
 その⑥・・・労働契約法
 その⑦・・・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 その⑧・・・労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)

通常、労働時間は、「1日8時間・週40時間まで」と定められており、
この時間を超えると時間外労働(残業)になります。

従来は、時間外労働(残業)の上限は、1ヶ月45時間、1年間で360時間までと定められてはいましたが、「特別条項」という条件を労使協定に加えることで、実質無制限に労働時間を延長できるようになっていました。

この「特別条項」を見直すべく、「時間外労働の上限規制」が導入され、以下のように規制されるようになりました。

 

時間外労働(残業)の上限規制

改正前 
法律上は、残業時間の上限がありませんでした。(行政指導のみ)

改正後
法律で残業時間の上限を定め、以下を超える残業はできなくなりました。(違反した場合には罰則も)

【改正後の上限】
1年間・・・720時間以内
1ヶ月・・・100時間以内
複数月の平均80時間以内
(*「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」が全て1ヶ月あたり80時間以内)

1日換算すると、月80時間は、1日4時間程度です。

 

臨時的な特別な事情があって、労使が合意する場合でも、上記の時間を超えると違法になります

※違反した場合は、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれも。

 

残業で、仕事を処理していた企業も残業を減らし「効率的に働く必要」が出てきたことから、健康経営にも注目が集まっています。

 

時間外規制に関して、より詳しく知りたい方は厚生労働省の特設サイトを確認下さい。

上記サイトから無料相談もできるみたい!

 

参考URL:働き方改革」の実現にむけて:厚生労働省

その③・・・SDGsの重点的取り組みの一つとして「健康経営の推進」を設定

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略称で「持続可能な開発目標」という意味です。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されてから、2030年までの15年間に、達成を目指すために掲げられた目標です。
現代版「京都議定書」という方が、イメージのつく方もいるかと思います。

以下は17種類の達成目標をまとめた一覧表です。

なんとなく目にしたことがある方も多いかと思います。

一見、従業員の健康の維持、増進をおこなうことで「会社の生産性の向上を目指す」健康経営とあまり関係が内容にも感じますが、

3 すべての人に健康と福祉を

3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進する。
8 働きがいも経済成長も

8.5 2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。
8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終わらせるための緊急かつ効果的な処置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

12 つくる責任つかう責任

12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び、自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

上記の点で「健康経営」も関係しています。

健康経営の取り組みは短期では効果があまり見込めません。長期的・持続的に継続していくことにより、成果は最大化していくという点においても「持続可能な開発目標」であるSDGsと通ずる点が多く、健康経営を導入し、達成していくことで、結果としてSDGsの達成にも繋がっていくと考えられます。

ジャケットやスーツの胸元に、カラフルなSDGsバッジを付けている人も、多く見かけるようになったね。

経済産業省が推進する「健康経営優良法人」認定制度

この健康経営には「健康経営優良法人」という認定制度があります。

健康経営優良法人とは・・・

経済産業省推進し、日本健康会議が認定する認定制度。
2017年から始まったばかりの認定制度だが、2020年3月2日付けで発表された「健康経営優良法人2020」では6296法人が認定を取得している。(大規模法人部門1480法人、中小規模法人部門4816法人)

健康経営優良法人の認定は、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門に分かれており、それぞれの認定基準は異なっています。

中小規模法人部門の場合だと、以下のような認定基準があります。

【健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)認定基準】

1.経営理念(経営者の自覚) *必須
健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健診受診

2.組織体制 *必須
健康づくり担当者の設置

3.制度・施策実行 *下記3-a,3-b-3-cの①〜⑮のうち7項目以上実施要

3-a.従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
          *下記①〜④のうち2項目以上の実施
  ①定期健診受診率(実質100%)
  ②受診勧奨の取り組み
  ③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
  ④健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)の設定
  (※「健康経営優良法人2021」お認定基準では必須科目に)
 
3-b.健康経営の実践に向けた基礎的な土台作りとワークエンゲイジメント
          *下記⑤〜⑧のうち少なくとも1項目の実施
  ⑤管理職または従業員に対する教育機会の設定
  ⑥適切な働き方実現に向けた取り組み
  ⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み
  ⑧病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み(⑮以外)

3-c.従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的施策
          *下記⑨〜⑮のうち少なくとも3項目以上の実施
  ⑨保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
  ⑩食生活改善に向けた取り組み
  ⑪運動機会の増進に向けた取り組み
  ⑫女性の健康保持・増進に向けた取り組み
  ⑬従業員の感染症予防に向けた取り組み
  ⑭長時間労働者への対応に関する取り組み
  ⑮メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
  受動喫煙対策に関する取り組み*必須

4.評価・改善 *必須
 (求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供

5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)*必須
定期健診の実施、健保保険者による特定健康調査、特定保健指導の実施、50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施、従業員の健康管理に関連する法令について重大な違反をしていない、など

(出典:健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)認定基準 | 経済産業省)

少し細かいですね。

全てを把握しておく必要はありませんが、「健康経営って何をしたらいいのかわからない」という方には参考になるかと思います。

 

「具体的に何をしたらいいのかわからない」ときは、認定種目の項目を見て、できることから取り組んでいくのも良さそうね。

 

「健康経営優良法人」認定取得のメリット

「健康経営優良法人」認定取得のメリット

健康経営優良法人の認定取得には、以下のようなメリットがあります。

 

【健康経営優良法人 認定取得するメリット】

その①・・・企業のブランド力の向上
その②・・・採用力向上
その③・・・従業員満足度向上

その①・・・企業のブランド力の向上

「健康経営優良法人」の認定を取得すると、認定ロゴをHPや名刺、求人募集要項などに利用することができるようになります。

また、経済産業省のHP内に法人名が記載されます。

掲載ページ→ 健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)

 

その他にも地域によっては、「金融機関の融資優遇、保証料の減額や免除」・「自治体が行う公共工事・入札審査で入札加点」・「自治体など独自の健康経営企業認定・県知事による表彰」など様々なインセンティブが用意されており、今後もこのインセンティブは増やされていく見通しです。

 

その②・・・採用力向上

「健康経営優良法人」の認定を取得すると、ハローワークなどの求人資料にロゴやステッカーを使用できるようになります。

「健康経営優良法人」の認定取得後に、求人エントリー数が400%上昇した事例もあります。

「健康経営優良法人」の認定を取得したことはもちろん、認定取得に向けて社内環境を整えた結果、より魅力的な法人になったんだろうね。

 

 

その③・・・従業員満足度向上

「健康経営優良法人」の認定取得を目指していくと、自ずと従業員の心身の健康について考えるきっかけになります。

どうしても従業員一人ひとりの心身の状況まで把握することは難しく、結果として離職率の上昇や、うつ病患者の発生に繋がります。

「健康経営優良法人」の認定、もしくは認定取得を目指すという目標を掲げることで、社内感のコミュニケーションを取る一つの“言い訳”になります。

また、外部の認定取得サポートを受けることで、より客観的に自社内の様子を把握することも可能になります。

夫の会社も導入してくれないかしら。

 

 

まとめ:健康経営には「健康経営優良法人」という認定制度がある。

まとめ

健康経営とは、従業員の健康の維持、増進をおこなうことで「会社の生産性の向上を目指す」経営手法です。

また「健康経営優良法人」という認定制度もあり、認定を受けることで、「ブランド力の向上」「採用力の向上」「従業員満足度の向上」など様々なインセンティブがあります。

「気になるけど、手続きがめんどくさそう…」という方向けに、「健康経営優良法人」認定サポートコースの実施も行っています。

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